今回は、製造業の現場において基本中の基本とされる「5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)」について、その本来の意味を問い直してみたいと思います。「5S=単に工場をきれいにすること」という理解で止まってはいないでしょうか? 実は、現場改善において最も重要なのは、最初の「2S」、すなわち「整理」と「整頓」を徹底することにあります。
まず「整理」とは、要るものと要らないものを分け、不要なものを捨てることです。例えば、本来3日分で済む在庫を7日分持っていれば、差分の4日分は「不要なもの」です。これを見極め、減らすことが第一歩となります。
次に「整頓」は、整理して残った「要るもの」の定位置を決め、作業者が使いやすい場所に配置することです。工具一つでも乱雑に置かれていると、探す手間や無駄なスペースが生まれ、生産性を下げてしまいます。
この「2S」が徹底されて初めて、工場は「必要なものが必要な場所にあり、どこに何があるか分かる状態」になります。残りの3S(清掃・清潔・躾)は、あくまでこの整った状態を維持・継続するための手段です。土台となる2Sが崩れていては、いくら掃除や教育(躾)を行っても、「きれいな状態」の定義すら定まらないため効果は薄いのです。
現場が整然とすれば、作業のテンポが良くなり生産性が向上します。さらに、整理された環境では異常が見えやすくなるため、品質トラブルも未然に防ぐことができ、結果として会社の利益体質強化にも直結します。
「乱雑すぎて何が問題なのか分からない」という状況を防ぐためにも、まずは足元の「2S」から見直してみませんか?