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実績紹介

ACHIEVEMENTS

「従業員を守るため」の正しい意思決定を。
一品一様のものづくりを支える、情報一元化と現場改善の挑戦

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「従業員を守るために、経営者は正しい意思決定をし続けなければならない」
全国にわずか77社というニッチな溶融亜鉛めっき業界において、めっき加工だけでなく、製缶や組付け加工までを一貫して手がける眞和興業。社長の眞野祥典氏は、そう語る。
しかし、多品種少量生産に加え、性質の異なる複数の工程(めっき・製缶・組付け)が混在する現場では、情報が部門や工程ごとに分断されやすく、意思決定に必要なデータを正確に把握することは容易ではない。
生産管理システムの導入によって情報を一元管理し、経営判断の精度を高めたい──。
そんな眞野社長の思いに伴走したのが、Karma Nexus株式会社だった。
システム導入と現場改善を並行して進めながら、どのように経営者の判断精度を高めていったのか。眞野社長の言葉とともに、そのプロセスを振り返る。

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眞野 祥典(眞和興業株式会社 代表取締役)

溶融亜鉛めっき事業で60年以上の歴史を刻む眞和工業株式会社の3代目代表。大型の公共建造物でも必要とされ、地産地消が基本となるめっき製品の生産を手がける。環境に配慮した数々の取り組みを実践。2021年に「はばたく中小企業・小規模事業者300社」に選ばれ、2022年には「2022愛知環境賞」を受賞した。

「眞和興業株式会社」HP
https://shinwa-made.co.jp/

現場に戻って感じた「違和感」の正体

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―まずは、眞和興業の事業概要について教えてください。

眞野 当社は愛知県一宮市と小牧市に拠点を置き、「溶融亜鉛めっき」と「製缶加工」の2つを柱として事業を展開しています。私たちの最大の強みは、大手企業には真似できない「一品一様」のものづくりです。建設資材や変電所の部品など、一つひとつ形状や大きさが異なる製品を扱っており、大量生産のラインには乗らないニッチな領域に特化しています。業界全体で見ても、こうした手間のかかる加工に対応できる企業は減っており、全国でも数えるほどしかありません。

―眞野社長は、一度豊田自動織機での勤務を経て家業に戻られたと伺いました。外の世界を知った目で改めて自社の現場を見たとき、どのように映りましたか?

眞野 戻ってきたのは2013年頃ですが、正直に言うと、イメージと実態には大きなギャップがありました。幼い頃から会社に出入りしていたので、従業員との関係性は良好でしたし、職人たちの技術力の高さも理解していました。しかし、いざ経営や管理という視点で見ると、あまりにも属人的だったのです。
最も危機感を覚えたのは、情報の分断です。社内に情報自体はあるのですが、各個人がバラバラのExcelファイルで管理していて、横の連携が取れていない。また、昔ながらの「見て覚えろ」「察して動け」という職人文化も、今の時代には通用しづらくなっています。「言わなくても分かるだろう」というベテランと、「言われなければ分からない」という若手の間に意識の溝が生まれ、組織として機能不全を起こしかけていました。

―「木を見て森を見ず」のような状態だったのでしょうか。

眞野 まさにその通りです。従業員一人ひとりは真面目で、各部署にとっての最適解を一生懸命に考えてくれています。しかし、情報が共有されていないため、会社全体で見ると非効率なことが起きていたり、経営判断に必要な数字がすぐに出てこなかったりする。特に2019年に新工場を稼働させ、拠点が物理的に分かれたことが大きな転機でした。車で数分の距離ですが、場所が離れただけで、まるで別の会社になったかのように意思疎通が難しくなってしまった。「あうんの呼吸」や「個人の判断」だけに頼る経営には限界が来ていると痛感したことが、私が情報の一元管理、つまり生産管理システムの導入を考え始めたきっかけです。

「健康診断」なしに、手術はできない

―情報が一元管理されていないことで、具体的にどのような難しさを感じていたのでしょうか。

眞野 一番は、経営判断を下すための「材料」が揃わないことです。めっき単体なら数日で現金化できますが、現在注力している製缶加工を組み合わせると、リードタイムが1か月近くかかります。工程が複雑になるほど、今どこでコストがかかっているのか、キャッシュフローはどうなっているのかが、現場の感覚だけでは追いきれなくなってしまいます。

―製造工程が複雑になるほど、直感と実態のズレが大きくなるわけですね。

眞野 はい。現場で今何が起きているのか、数字として見えていない。それは経営者にとって、「健康診断をしていないのに手術の判断を迫られている」ようなものです。本来であれば、会社の体重や血圧、どこか悪い数値はないかといった“健康状態”を正確に把握した上で、「よし、ここに投資しよう(手術しよう)」とか、「今は体力を温存しよう」という判断をすべきです。しかし、その診断データがないままでは、「今、リスクを取って手術(投資)に踏み切るべきか、それとも経過観察に留めるべきか」という判断が博打になってしまいます。

―データがないままの投資は、リスクが高すぎると。

眞野 その通りです。私は経営者として、会社を存続・発展させるための「攻めの投資」は、リスクを取ってでも実行し続けなければならないと考えています。例えば、新しい切削機械を入れるのか、熱処理の設備を増やすのか。しかし、その投資判断が誤っていた場合、最終的に苦しむのは現場で働く従業員たちです。「従業員を守る」と言いながら、私の判断ミスで彼らを不幸にするわけにはいきません。だからこそ、正しい意思決定を行うための環境づくり、つまり「会社の“健康状態”を可視化するシステム」が不可欠でした。

「システム」ではなく、「現場」を変えるパートナー

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―ただ、システム導入は一筋縄ではいかなかったそうですね。

眞野 はい。一番の壁は、私たちの強みである「一品一様」のものづくりでした。世の中にある生産管理パッケージの多くは、同じ製品を大量に作るライン生産を前提としています。私たちのように、毎日異なる形状の製品が流れ、工程もその都度変わるような現場にフィットするシステムがなかなか見つかりませんでした。
ようやく「これならいけるかもしれない」というシステムは見つかったのですが、ベンダーとうまく意思疎通ができず、構想から2年近く足踏み状態が続いてしまいました。

―そこで、Karma Nexus株式会社に支援を依頼された。

眞野 そうです。代表の松田さんとは以前から製造業の繋がりで面識があり、現場の実情を知っている信頼感がありました。
彼が入ってくれて本当に助かったのは、膠着していたプロジェクトを動かしてくれたことです。システム会社と私たちの間に入り、専門用語を通訳しながら要件を整理してくれただけでなく、動きの鈍いベンダーに対して、直接トップ(社長)に掛け合って交渉までしてくれました。さらに、「ここまでやってダメなら、今回はシステム導入を見送りましょう」と、リスクの限界点となる「撤退ライン」を明確に数字で示してくれた。これがあったからこそ、私も安心して前に進む決断ができました。

―「現場を知る人間」が間に入ることのメリットは大きかったですか。

眞野 非常に大きかったですね。特に、「小さく始める」というアプローチが現場には効果的でした。「まずはここだけ変えてみましょう」「これで少し楽になりましたよね」という小さな成功体験を積み重ねていく。これによって、現場の工場長や職人たちが「システムに使われる」のではなく、「自分たちの仕事を楽にするために使うんだ」という意識に変わっていきました。この変化こそが、何よりの成果だと感じています。

目指すのは「9割」。完璧さを求めない勇気

―システムの導入を進める中で、特に意識されていることはありますか。

眞野 私が常に意識しているのは、「100点満点を目指さない」ということです。90点で十分だという割り切りを持って進めています。システム導入で失敗するパターンの多くは、現場の細かい例外処理まですべてシステムで管理しようとして、ガチガチに固めてしまうこと。これでは手間ばかりかかって、いつまで経っても完成に至りません。

―完璧を求めすぎると、現場が疲弊してしまうと。

眞野 そうです。経営判断においても、データの精度が95%か100%かで意思決定が大きく変わることは稀です。それよりも、「今月は200万円の黒字だと思っていたら、実は在庫過多で実質1000万円の赤字だった」というような、大きな認識ズレを防ぐことの方がはるかに重要です。だからこそ、システムで管理すべき「標準」の部分と、Excelやスプレッドシートで柔軟に対応する部分を明確に使い分けるようにしています。
私たちのような一品一様の製造業は、変化が激しいのが特徴です。すべてをシステム化してしまうと、仕様変更のたびに改修コストがかかってしまいます。あえてシステム化しない領域を作り、柔軟性を残しておくことこそが、長く使い続けるための持続可能な運用に繋がります。

―持続可能であること、がキーワードですね。

眞野 ええ。最も恐れるべきは、特定の担当者しか使えない属人化です。いくら高機能なシステムでも、入力できる人が一人しかいなければ、その人が辞めた瞬間に止まってしまいます。誰でも扱えるシンプルさを維持し、特定の人に依存しない体制を作ること。それが、従業員を守り、会社を長く続けていくための必須条件だと考えています。

「従業員を守る」ための攻めの経営へ

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―今後、システムによる一元管理が進めつつ、どのような経営を目指していきたいですか。

眞野 国内のめっき、インフラの新設・更新の需要は30年前の約3分の1にまで減少しています。この厳しい環境下で、現状維持は後退を意味します。会社を存続させ、従業員とその家族を守るためには、リスクを取ってでも「攻めの経営」に挑み続けなければなりません。ただ、闇雲に攻めるのではなく、システムで得られた「正しいデータ」に基づいて判断し、精度高く挑戦していく必要があります。
具体的には、本業のめっき加工に加え、前工程の製缶や後工程の組み付けなど、業務領域を横に広げていくことです。新工場を建設し、設備投資を進めているのもその一環です。「めっきだけでは食っていけない」という危機感を常に持ち、複合的なサービスを提供できる体制を整える。そうやって事業の幅を広げることで、たとえ市場が縮小しても、従業員の雇用をしっかりと守り抜ける会社でありたいと考えています。

―そのためにも、正しい現状把握が欠かせないわけですね。

眞野 おっしゃる通りです。情報が間違っていれば、当然、経営判断も間違ってしまう。だからこそ、これからはシステムやAI(人工知能)、周囲の意見も柔軟に取り入れながら、客観的なデータに基づいて精度を高めていきたい。まずは私自身がアップデートし続けなければならないと強く感じています。

【Karma Nexus株式会社の視点】
「議論」ができる組織の強さ

眞野社長とお話ししていて強く感じるのは、リーダーとしての懐の深さです。社長自身、非常に高い知見をお持ちですが、会議では自らファシリテーターとなり、「君はどう思う?」「それは違う視点で面白いね」と、社員の意見を積極的に引き出されています。
トップダウンでありながら、現場の声もしっかりと吸い上げる。外部の私たちに対しても「まずはやってみろ(Do)」と任せてくれる度量がある。この柔軟性と決定力こそが、眞和興業の変革スピードを生んでいるのだと確信しました。システム導入はあくまで手段です。その先にある「強い組織づくり」に向けて、これからも伴走させていただきたいと思います。

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