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実績紹介

ACHIEVEMENTS

「忙しいのに、なぜ儲からないのか」
現場改善のプロ×会計の専門家が語る、中小製造業のための“止血”経営

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原材料費や人件費の高騰が続くなか、多くの中小製造業が「現場はフル稼働なのに、なぜか利益が残らない」という状況に直面している。
実はその原因の多くが、経営者自身も把握しきれていない「見えない出血」にある。
重要なのは、いきなり対策を打つことではない。まず数字で現状を診断し、どこで血が流れているのかを特定することだ。
工場の現場実務を知り尽くすKarma Nexus株式会社代表・松田と、会計・税務の視点から数多くの企業を支援してきたAX税理士法人代表・岡田氏。
「現場」と「数字」、異なる立場から企業を見てきた2人が、中小製造業がまず取り組むべき原価管理の考え方と、持続的に利益を生み出すための経営の組み立て方について語り合った。

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岡田 弘貴(AX税理士法人 代表社員)

公認会計士・税理士・中小企業診断士。筑波大学大学院(システム情報工学研究科)修了。有限責任監査法人トーマツにて、グローバル製造メーカーや専門商社等の監査に従事。2024年にAX税理士法人を設立。スタートアップ支援やバックオフィス効率化に加え、製造業の現場監査経験を活かした経営診断に定評がある。

「AX税理士法人」HP
https://ax-tax.com/

対策に走る前に、まずは会社の“健康診断”を

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松田 本日は、「数字と経営」の専門家であり、かつ工学修士としてITやシステムにも明るい「経営診断のスペシャリスト」岡田先生にお越しいただきました。まずは昨今の製造業を取り巻く環境について、どうご覧になっていますか。

岡田 よろしくお願いします。やはり、ここ数年の原材料費やエネルギー価格の高騰、そして賃上げ圧力は相当なものです。特に厳しいのは、売上自体は大きく落ちていないのに、利益だけが静かに削られているケースが増えている点です。これまでは許容できていたコスト増が、今や利益を確実に圧迫する水準に達しつつある、という印象を持っています。

松田 そうですね。昔のように「良いものをたくさん作れば売れる、売れば儲かる」という方程式が崩れ、「一生懸命作っているのに、なぜか手元にお金が残らない」というご相談が増えています。決算書を見ると、売上は横ばい、場合によっては微増なのに、粗利率だけが数%ずつ落ちている。ところが、その理由を社内の誰も説明できない──そんな状況も珍しくありません。そうした企業に対し、私たちはどうアプローチすべきだとお考えですか?

岡田 まず重要なのは「一度立ち止まって診断すること」です。利益が出ない原因は、営業力が弱いのか、設備の老朽化なのか、それとも製造コストの問題なのか、企業によって千差万別です。だからこそ、いきなり特定のツールや手法を導入するのではなく、まずは会社の“健康診断”を行う。どこで、どれだけ利益が失われているのか。そのインパクトを数字で可視化しない限り、打ち手は必ずズレます。

松田 おっしゃる通りです。そして実際に診断をしてみると、多くの企業で「利益が消えている場所」が鮮明になります。「まさか、あの工程が赤字を出していたとは……」と驚かれることが多々あるのですが、それを見える化していくことこそが「原価管理」です。営業や設備投資には熱心でも、「製品一つあたりのコスト」はどんぶり勘定のままというケースが多い。私はかつてタイや日本の工場で実務を見てきましたが、現場が忙しいほど、原価は“見えているつもりで、実は誰も正確に把握していない領域”になりがちです。その結果、気づかないうちに利益だけが削られていく。いわば“静かな出血”の主犯が、原価管理の不在なんです。だからこそ本日は、この点について掘り下げたいと思います。

気づかぬうちに起きている「見えない出血」

松田 例えば、見積もり段階では「20秒に1個」製造するという計算で受注し、利益が出るはずの製品があったとします。しかし、いざ現場の実態を計測してみると、「40秒に1個」しか作れていなかった、ということがしばしばあるんです。現場の職人はサボっているわけではなく、良かれと思って丁寧に作っている。ですが経営視点で見れば、予定の倍の時間がかかっているわけですから、「作れば作るほど赤字」の状態です。しかもこのズレは、1製品・1工程に留まりません。主力製品でこれが起きていれば、その影響は年間の生産量すべてに波及します。これが、現場で起きている「見えない出血」の一例です。

岡田 非常に恐ろしい話ですが、我々のような監査の現場でよく見かける光景でもありますね。原価計算が正しくできていないと、「どの製品が稼ぎ頭で、どの製品が足を引っ張っているか」が分かりません。経営者は「売上が大きい主力製品=儲かっている製品」と思い込みがちですが、診断してみると、その主力が粗利を食い潰し、会社全体の利益を押し下げているケースも少なくありません。

松田 なぜ、そこまで深刻な状態になるまで気づけないかというと、多くの工場には過去に「右肩上がりで成長してきた」という成功体験があるからです。黒字のときはとにかく現場が忙しいので、「作れば売れる」という感覚のまま、細かい管理よりも生産を優先してしまう。その結果、原価の前提条件が少しずつズレていることに誰も気づかないまま、数字だけが昔の感覚で固定されてしまう。

岡田 おっしゃる通りです。そして怖いのは、環境が変わって赤字が表面化した時点では、すでに打てる手が限られていることです。価格転嫁は簡単ではありませんし、主力製品が赤字だと分かっても、すぐにやめるわけにもいかない。気づいた瞬間には、会社の体力がかなり削られているというケースを、私は何度も見てきました。

松田 だからこそ、原価管理は「余裕がある会社がやるもの」ではないんですよね。本当は、まだ余力があるうちに手を打たなければ意味がない。

岡田 その通りです。原価管理をしたからといって、すぐに利益率が伸びるわけではありません。ただ、私の経験上、持続的に利益を出している企業は例外なく、「どこで利益を出し、どこで失っているか」を数字で説明できます。原価管理は、派手さはありませんが、経営が手遅れになるのを防ぐための最低限の防波堤だと言えるでしょう。

高額なシステムは不要。「小さく始める」が成功のカギ

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松田 では、実際に原価管理を始めようとなったとき、どうすればよいか。ここで多くの企業が陥るのが、「いきなり高額な管理システムを導入して失敗する」というパターンです。本来問うべきは「何を管理するか」なのに、「何を入れるか」から考えてしまう。ここで判断の順番を誤る企業が非常に多いと感じます。

岡田 そうですね。最初から数百万~数千万円もするシステムを入れるのはリスクが高すぎます。特に日本企業によくある失敗が、「現場の今のやり方」に合わせてシステムをカスタマイズ(改修)してしまうことです。本来、システムに合わせて業務を標準化すべきなのに、今のやり方に合わせようとするから開発コストが嵩む。そのうえ、無理な改修のせいで本来の管理機能が働かず、現場からも「使いにくい」と敬遠され、結局使われなくなってしまう……。これは「ツールの問題」ではなく、「問いが整理されていない状態」でシステムを入れてしまうことが原因です。

松田 つまり最初の一手は、「立派な仕組みを作ること」ではなく、「見るべき数字を決めること」なんですよね。その意味では、まずはExcelで十分。それも、全製品を一気にやる必要はありません。

岡田 はい。「パレートの法則」(全体の数値の大部分は一部の要素によって構成されているという法則)の通り、売上の8割は、全製品のうちの主要な2割で作られていることがほとんどです。まずはこの「主要な2割の製品」に絞って、Excelベースで原価を見える化する。ここで重要なのは精緻さではなく、「この製品は本当に儲かっているのか?」という経営判断に耐えうるかどうかです。

松田 私もその進め方を推奨しています。まずは手持ちのデータでやってみる。そうすると、「あ、このデータが足りないな」と気づく。そこで初めて現場でのデータの取り方を変えてみる。最初から完璧な管理を目指すのではなく、判断に必要な最低限の数字を揃え、足りないものを一つずつ補っていく。このサイクルを回しながら、自社に合った管理手法を作っていくことが重要です。

目指すは“経営のコックピット化”。なぜ外部の目が必要か

松田 私たちが目指すゴールは、いわば“経営のコックピット化”です。飛行機のパイロットが計器を見て機体を操るように、経営者が「今日の工場の調子」を一目で把握できる。もし異常値のアラートが出たら、「どこに問題があるのか」が即座に見える化され、スピーディな経営判断ができる状態です。経営者が現場の細かい数字の是非に振り回されるのではなく、判断そのものに集中できる状態とも言えます。ただ、そこまで自力で行き着くのは社内のリソースだけでは難しい、という現実もあります。現場では工場長やベテラン職人の発言権が強いため、経理部門が「数字がおかしい」と指摘しても、「現場を知らないくせに」と反発されてしまい、社内で正しさを巡る消耗戦が起きてしまうことが多いんです。

岡田 そうですね。社内の人間には、どうしても過去の経緯やしがらみがあり、ドラスティックな“外科手術”ができません。だからこそ外部の視点が必要です。私は第三者の立場から、客観的な数字と他社事例に基づき、「今、御社のどこが一番のボトルネックなのか」を論理的に診断し、優先順位を提示します。社内調整や感情論に時間を取られず、経営として「何から手を付けるべきか」を最短距離で示すのが役割です。

松田 そして、戦略が決まった後の「戦術・実行」に伴走するのが私の役目です。私は工場の経理部長を務めた経験があり、現場の苦労も言葉も理解できます。数字(PL/BS)の意味を現場の言葉に翻訳し、工場長や現場の方々の懐に入り込んで、新しい運用を定着させる。経営者が矢面に立って説明しなくても済むよう、間に入って摩擦を減らす。「診断」と「実行」の両輪でサポートするからこそ、現場を置き去りにせず、確実に会社を変えていけると考えています。

次の時代を生き抜くために

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松田 「うちなんかが相談していいのか」と謙遜される経営者様もいらっしゃいますが、長年事業を継続されていること自体が素晴らしい実績です。ただ一方で、原材料費や人件費が自然に下がる時代は、もう戻ってきません。原価の問題は、放っておいても解決しないどころか、静かに会社の体力を奪い続けます。サプライチェーン全体、そして何より、現場で働く従業員の皆様の暮らしを守るためにも、まだ大丈夫なうちに一度、自社の“健康状態”を一緒に確認していただければと思います。

岡田 ぜひ、経営者の皆様には、人間ドックに行くような感覚で相談していただきたいですね。症状がはっきり出てからでは、選択肢はどうしても限られてしまいます。「原価管理」という武器を持つことで、次の時代も生き残れる筋肉質な会社になれます。

松田 経営者が孤独な判断を強いられないよう、そのための準備を整えてお待ちしています。岡田先生、本日はありがとうございました。

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